10年8月~17年4月、中国上海で広告の仕事。17年5月に日本へ帰国、中国×金融×マーケティング

アルツハイマー病の新薬「九期一(GV-971)」販売開始。中国の製薬会社「上海緑谷」が開発。

私も知りませんでしたが、これまでアルツハイマーに効果のある薬は17年以上も認可、発売されていませんでした。中国に限らず世界中で、です。

しかし上海に本拠地がある上海緑谷製薬が2019年11月2日に中国国家薬品監督管理局から「九期一」というアルツハイマーの薬が認可されました。

商品名通称型番
九期一甘露特钠GV-971

開発したのはどこの誰か?

開発は中国科学院上海薬物研究所の耿美玉氏と、上海緑谷製薬の共同開発メンバーによって行われました。

下記写真の前列、左側の女性が耿美玉さんです。

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1997年、 中国科学院上海薬物研究所の耿美玉氏が有効と思われる物質を発見。

2006年、中国薬物臨床試験の許可を得る。

2007年、12月に第一期臨床試験開始

2009年、上海緑谷製薬が九期一の研究開発権を取得

2013年、第二期臨床試験開始

2014年、第三期臨床試験開始

2018年、7月第三期臨床試験完了

2018年、10月中国政府へ新薬製造及び販売許可を申請

同じく第三期臨床試験の結果を「第11回国際アルツハイマー(AD)臨床研究大会」で発表

2019年、10月研究成果を「Cell Research」で発表。

2019年、11月 中国国家薬品監督管理局 から許可取得、正式発売へ。

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2019年、12月29日、北京において中国国内での発売開始を発表。

どういうメカニズムなのか?

九期一がどうアルツハイマーに効くのか、専門用語が多いので分かりませんが、わかる範囲で九期一の中国語Webサイトを読んでみました。

ポイントを列挙します。

  • アルツハイマーはアミロイドとタンパク質のゴミが脳内に沈着し、神経線維のもつれを起こし、認知障害が発生する病気
  • 2018年現在、世界で5,000万人が罹患、2050年までに1.5億人が罹患する
  • これまで認可されている薬はあくまで症状改善のみで、病理学的変化による軽減や、進行を遅らせることもできなかった
  • 上海緑谷製薬が発見したのは「腸内細菌の不均衡によって、末梢血管中のフェニルアラニンとイソロイシンの異常に増加。これによりTh1細胞が増加。そしてTh1細胞が脳内へ浸潤し、M1ミクログリアを活性化させ、ADに関連する神経炎症を引き起こす」
  • つまり「腸内の細菌バランスを改善することで、結果的に脳の炎症を軽減させ、認知障害機能を改善させる」

つまり、この薬は直接、脳に影響しているのではなく、腸内の細菌バランスにフォーカスしているのです。

リンク先の文章には更に腸内細菌が、肥満や糖尿病、脳血管疾患、精神疾患などにも影響すると続けています。

中国がアルツハイマー病改善を牽引してほしい

実は私の祖母も重度のアルツハイマー病にかかりました。

小学校5年のときに、父方の祖母と同居が始まったのですが、大学受験を控えた高校2年後半にはもう僕のことも徐々に忘れていました。

母への当たりがどんどん強くなり、それを間近で見ていた私は、心の底から肉親である祖母を憎んだこともありました。

しかし、最後は101歳の大往生。母も「祖母はどんどん自分や自分の子供や孫のことが分からなくなっていった。それが怖くて怖くてついつい私達に当たっていただけ。祖母がいたから今の私でいられる。」と怨恨を残してらず、私もそんな母を見て、祖母に対しての憎しみは無くなりました。

とはいえ、やはりあのような経験はしない方が良いです。また日本や中国では超高齢社会になり、老老介護が当たり前になる時代が来るでしょう。もしこの薬が本当にアルツハイマーに効用があるなら、日本もこの薬を輸入し普及をさせてもらいたいです。

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