テンセントは言わずとしれた中国、いえ世界最大級のIT会社です。
個人向けのサービスではWechatを主軸としたプロダクトが有名ですが、
事業者向けにもサービスを展開しています。
中でもテンセント クラウド(Tencent Cloud)というものがあり、テンセントは
自社が持つ膨大なビッグデータを活用し、ユニークがサービスを提供しています。
この記事ではテンセント クラウド(Tencent Cloud)が提供するプロダクトを
たくさん紹介したいと想います。
目次
テンセントクラウド(Tencent Cloud)とは
テンセント社が提供するクラウドサービス全般を指します。
クラウドサーバーの提供、データベース、ドメイン取得、CDN、VPN環境構築などなど、とにかくWebサービスを立ち上げるなら一式揃っています。
日本ではアマゾンが提供するAWSが一般的だと想いますが、中国国内でWebサービスを立ち上げるならばテンセントかアリババが提供するクラウドサービスになると想います。
どんな会社がテンセントクラウド(Tencent Cloud)を使ってる?
残念ながらテンセント クラウド(Tencent Cloud)は日本語サイトを持っていません。
英語版の下記へアクセスするとページ下部に事例が掲載されています。
自社で運営しているQQやWechat
搜狗(検索エンジン)、DiDi(ライドシェアサービス)、大众点评(口コミサービス)、
饿了吗(出前サービス)などなど中国での屈指のWebサービスプロバイダーが、
テンセント クラウド(Tencent Cloud)を使っているのがわかります。
これは以前、出張で深センの空港で見た看板です。
今は少し下火ですが、Mobikeというシェアサイクルサービスもテンセント クラウド(Tencent Cloud)を使っています。
どんなサービスがあるの?
ユニークなサービス/プロダクトを紹介します。
教育機関向け:英語自動添削
- これまで先生がやっていた英語の添削をほぼ自動化
- 手書きで書かれた英語も97%の正確性で識別
- 細かい文法、句点の使い方、単語のスペル間違いなどを瞬時で判断
- 修正の提案なども行う
金融会社向け:モバイルAPP開発キット
- 金融機関はこれまで0から自前のAPPを開発していた
- テンセント クラウド(Tencent Cloud)のキットは基本機能をパッケージで提供
- 自社顧客データベースとのつなぎ込み、ログイン機能、セキュリティ監視など
- UIも70以上のテンプレートがある
- 例えば銀行は自社のAPPを立ち上げようとすると、これを購入するだけ
- 開発費を大きく削減することができる
保険会社向け:詐欺防止サービス
- 保険金申請、審査、保険金支払をより安全且つ効率化
- 顧客が保険会社へ保険申請をすると自動でその信用度を判別
- 虚偽申請の可能性や、人間関係などから詐欺グループによるものかなどを判別
これ、やばいですね。。。。
個人の銀行口座、携帯番号、位置情報、それまでの人間関係などから、
その保険金申請の信憑性について自動で判別がされるそうです。
これはあくまで想像ですが多分、裏側ではこんなことがされていると想います。
僕と王さんは古くからの友人だったとします。
Wechatでも友達関係にあり、頻繁にメッセージをやり取りしていたり、
食事をした時にはWechatを通じてお金のやり取りをしていたとします。
そして僕がこの王さんと共謀して車両事故を起こし、例えば加入していた自動車保険に
車両事故を起こしてしまい、王さんへの損害賠償と自分の車両の修繕費用について
保険金請求をしたとします。
自動車保険の会社はこのサービスを使うことで、僕と王さんが古くから親しい友人で
あったことをつきとめ、この保険申請が虚偽ではないかという判断を下します。
動画サービス提供会社向け:短い動画を自動で識別サービス
- 短い動画(TikTokにアップされるようなもの)を自動で審査
- アダルトや暴力的、政治的表現がないか自動で判断
- 動画に映っているものから自動でタグ付け提案(例えば、フライパンで卵焼き作ってる動画なら”料理”などのカテゴリタグを自動挿入)
金融機関向け:本人確認サービス
- Financial Identity Verification,FIVというサービス
- 口座開設時に身分証の画像や本人の顔写真をアップ
- この画像をAIが識別し本人かどうか確認
実はこれを導入したくて、テンセント クラウド(Tencent Cloud)の開発パートナー企業に連絡を取っていました。
単純な疑問として、顧客が画像を提供してもそれが本物かどうかなんて確かめられないじゃないか、と聞いたところ
いやテンセントは公安局のデータベースとつながっていて、それと突き合わせしてる、
とのこと。
いやー、すごいです。
たとえばこれ。
テンセントが運営する銀行なのですが、テンセントクラウドの本人確認サービスを活用しています。
口座を開く手順を整理するとこんな感じ。
全部モバイルアプリで完結、口座開設も5分で終わりました。
全業種向け:スマートボットサービス
- いわゆるBot
- 顧客がチャットツールを通じて質問、自動で最適な回答を返信
- Wechat、Webサイトなど様々なツールで導入可能
ゲーム会社向け:ゲームに必要な機能パッケージ
- オンラインゲームの開発に費用な機能をパッケージ化
- 例えば4人参加するテーブルゲームを想定
- 4人用のルーム開設、同席者のチャット機能、参加、退室など
日本で同じようなサービスを提供している会社は?
正直、これほどまでに多用なサービスを提供している会社が思い浮かびません。
ソフトバンク、GMO、ぐらいでしょうか。
しかしソフトバンクも自前でサーバーを持ってやっているわけではありません。
GMOもサーバーやドメインサービスは提供していますが、ここまでではありません。
テンセントがやっているのは、日本で言えばは警察や税務局、総務省の持つデーターベースとつないで、それを活用しているようなものなので、
ここまでの取り組みは日本ではまだまだというか、一生できないと思います。