中国国家統計局という機関があり、毎年人口統計や貿易収支、中国国民の収入、可処分所得、産業種別や都市別の収入などを整理しています。
この記事では有用な数値を整理します。その後、僕が実際に会話したり、コミュニケーションしている中国人から感じ取った統計上にある数字とは違う見方を紹介します。
http://data.stats.gov.cn/index.htm
ここからデータを取得しています。
もし中国に関する知りたい統計情報がおありで、探し方が分からないなんてことがありましたら、Twitterかページ下部の問い合せから知らせてください。
わかる範囲でですが、国家統計局のサイトにデータがないか見てみます。
単位:億 | 2018 | 2017 | 2016 | 2015 | 2014 | 2013 |
労働力数 | 8.05 | 8.06 | 8.06 | 8.00 | 7.70 | 7.93 |
昨年から労働力人口が減少に転じています。
単位:億 | 2018 | 2017 | 2016 | 2015 | 2014 | 2013 |
第一次産業 | 2.02 | 2.09 | 2.14 | 2.19 | 2.27 | 2.41 |
第二次産業 | 2.13 | 2.18 | 2.23 | 2.26 | 2.30 | 2.31 |
第三次産業 | 3.59 | 3.48 | 3.37 | 3.28 | 3.13 | 2.96 |
金融、ITなどを含めた第三次産業への人材流入が急加速しています。
毎年1,000万人単位で第三次産業へ人材が移行している模様ですね。
単位:億 | 2018 | 2017 | 2016 | 2015 | 2014 | 2013 |
都市部 | 4.34 | 4.24 | 4.14 | 4.04 | 3.93 | 3.82 |
農村部 | 3.41 | 3.51 | 3.61 | 3.70 | 3.79 | 3.87 |
2013年までは5:5だった比率が徐々に6:4へ。都市部への移動が加速しています。
単位:万元 | 2018 | 2017 | 2016 | 2015 | 2014 | 2013 |
国有企業 | 8.94 | 8.11 | 7.25 | 6.52 | 5.26 | 5.14 |
一般企業(*) | 9.33 | 8.50 | 7.82 | 7.26 | 6.74 | 6.11 |
*股份有限公司をピックアップしています。
中国人民元と日本円のレートが、だいたい1MRB=15,5JPYです。
これで換算するとだいたい140万円から150万円程度ということがわかります。
中国すべきは伸長率ですね。データにはなかったので表に追加してみました。
2013年を100とした場合
指数 | 2018 | 2017 | 2016 | 2015 | 2014 | 2013 |
国有企業 | 173 | 157 | 141 | 126 | 102 | 100 |
一般企業(*) | 152 | 140 | 128 | 118 | 110 | 100 |
2013年から6年間で給料が国有企業は1.7倍、一般企業は1.5倍になっています。
次に前年比較して、何パーセントずつアップしているか見てみましょう。
単位:% | 2018 | 2017 | 2016 | 2015 | 2014 | 2013 |
国有企業 | 10.2 | 11.86 | 11.19 | 23.9 | 2.3 | – |
一般企業(*) | 9.7 | 8.6 | 7.7 | 7.7 | 10.3 | – |
2014年から2015年における国有企業の伸び率が異常ですね。前年比24%アップです。
一般企業も毎年コンスタントに10~7%、給料がアップしています。
日本に置き換えると平均年収が400万円として毎年7%アップしたら、翌年は428万円。月間にして23,000円程度の給料アップです。
毎年なので、翌年は428万円の7%アップで、457万円。その次は490万円と母数が大きくなるのでガンガン上がっていきます。日本で想像できないですね。
単位:万元 | 2018 | 2017 | 2016 | 2015 | 2014 | 2013 |
可処分所得 | 2.82 | 2.59 | 2.38 | 2.19 | 2.00 | 1.83 |
単位:万元 | 2018 | 2017 | 2016 | 2015 | 2014 | 2013 |
都市部 | 3.92 | 3.63 | 3.36 | 3.11 | 2.88 | 2.64 |
農村部 | 1.46 | 1.34 | 1.26 | 1.14 | 1.04 | 0.94 |
都市部と農村部の可処分所得における差は2.46倍も差があるのですね。
単位:万元 | 2018 | 2017 | 2016 | 2015 | 2014 | 2013 |
都市部 | 2.66 | 2.44 | 2.30 | 2.13 | 1.99 | 1.84 |
農村部 | 1.21 | 1.09 | 1.01 | 0.92 | 0.83 | 0.74 |
ここまでが中国国家統計局から抜き出したデータです。
散々統計データを出しておきながら申し訳ないのですが、中国において「平均したデータ」ほど意味の無いものはありません。
ここで言いたいのは2つです。
まず最上級都市部との違いについてです。
例えば一般企業の2018年における平均年収が9.33万元、日本円で約150万円という数値ですが、これは地方都市の中小企業で働く人達も加えて平均化しているのでかなり下振れしています。
2019年12月に上海へ出張し、前の同僚たちと話す機会がありました。
全部で6人と一緒の食事をしたのですが、5人は会社は違えど引き続き一般企業で、1人は行政機関で働いています。
一般企業で働く人たちは1.7万元~2.5万元/月間のレンジ、年収に換算すると20万元~30万元、日本円で310万円~450万円です。彼ら、彼女たちは上海で働いているので、全国平均より2倍~3倍も違います。
行政機関で働く人は8,000元/月間、年収で96,000元、日本円で約150万円です。2018年における国有企業の年収が10.6万元でしたので、同じような待遇でありますから、統計データとほぼ同じことがわかります。
公務員や準公務員は都市部でもその他の都市でも平均化されているものと思われます。
次に給与だけが彼らの収入ではない、という点です。
特に上海や北京の地元出身の子たちに多いのですが、親から引き継いだ不動産という最強の収入源を持っています。
もちろん結婚したら自分で住むのですが、不動産は1つではありません。
3つ・4つ持っている、というのは結構見かけるケースです。
これを1つは親が、1つは自分とその家族、あと2つは外地からやってくる人たちに貸すことで不動産収入を得ることができます。
今の上海市長寧区で50平米ほどの家を借りようと思うと、だいたい3,500~5,000かかりますから、それだけで1物件あたり年間60,000元、約90万円のキャッシュフローが生まれます。
また副業もしているケースがあります。行政機関で働く友達はしていませんでしたが、一般企業で働く1人は女性でネットのコスプレ系(?)、僕もよくわからないのですが、紅人(ネット上の有名人)として副業で稼いでいるそうです。
具体的な金額は知れませんでしたが、おそらく数千元単位で収入があると思われます。
だいぶ前にこんな記事を書きました。
この記事では
という友人を紹介しました。
こういう人たちが銀座や心斎橋に来て、たくさんのものを買ったり、買い物に飽きたら地方都市を旅行したりしているのです。
これが僕の最上級都市である上海にいる中国人のリアルです。