以前、大阪で働いている時に地方から来た友人と電車に乗っていました。
近くにいかにも大阪のおばちゃんと思しき集団がいました。
するとその友人が
「おい、あの人たちケンカしてるぞ」
と言うのです。
しかし僕から見ると普通に会話しているのです。
「いや、普通に会話してるだけでしょ」
と言うと
「でもあんなに大きな声で、『あんた』とか言ってるよ」
と友人は言いました。
関西圏外から来た彼にとって大阪人どうしの普通の会話は
ケンカのように見えたようなのです。
関西圏外の人から見た大阪人のコミュニケーションがケンカに見えるように、
日本人から見た中国人のコミュニケーションもケンカのように見えます。
既に中国で暮らして1年以上が経った僕ですが、まだ慣れない時があります。
なぜ中国人のコミュニケーションはケンカのように見えるのでしょうか?
僕なりに考えてみました。
中国人は総じて、会話の際の声が大きいです。
電話で話す時、世間話の時、ビジネスミーティングの時、いずれも声が大きいです。
会社の別部署に声の大きい女性がいるのですが、離れた席に座っていても彼女の話し声が
聞こえてきます。
彼女が会議している時はいつも「彼女の部下が何か問題を起こして怒っているのかな?」と思うのですが、
次の瞬間、笑い声が起きたりして、ただの世間話だった、なんてことがあります。
これは個人差がありますが、中国人は会話の間に日本語でいう「ええーっと」の代わりに、
「ちっ」という舌打ちに似た音を出す方がいます。
単純にこの音だけを聞くと「舌打ちした。怒っているのかな?」と思ってしまいます。
しかしなんのことはありません、次に言うことを考えているだけなのです。
地方にも差があるのかもしれません。
アメリカ人もそうかもしれませんが、中国人も話す時の身振りが大きいです。
手をしきりに動かしたり、広げたり。
テンションが上がってくると、この動きが早くなり威嚇しているように見えて、
「あれ?怒ってる?」と感じてしまうのです。
なんのことはありません、テンションが上がって楽しく話しているのです。
理由3の一連の流れで相手に少し触れる、というか腕の当たりをすこし叩くのです。
叩くという表現は適切ではありませんね、なんというか漫才の突っ込みみたいな形で、
手の甲で少しきつめに相手に触れるのです。
しかもこのタイミングが、相手の会話をさえぎった時、または反論した時に来ることが
多いような気がして、このタイミングでやられると「あれ?怒っている?」となるのです。
これもなんのことはありません、理由3と同じくテンションが上がって楽しく話しているのです。
こちらが話していても、それにかぶせるように話し始めます。
だから大人数で話すと収拾がつきません。
全員が思い思いに話すので、もはや誰と誰が会話しているのか分からなくなる時があります。
この傾向は親しい人どうしが集まると顕著になるように思います。
ビジネス上もこのようなことが時折あります。
日本では、同時に話し始めようとすると譲り合います。
例えばクライアントと話をしている時、営業マンのAさんとクライアントのBさんが
同時に話し始めようとしたら必ずAさんは「あっどうぞ」とBさんが先に話すよう勧めるでしょう。
しかし中国人どうしでは我先にと話し始めます。
上記のような同じような状況ではAさんもBさんも同時に話し、いずれかが諦めるのを待たなくてはなりません。
ですから私も日本人と中国人とコミュニケーションする時はやり方を変えています。
中国人と話して話し始めが重なる時は必ず「まず聞いて」と相手を制します。
日本人と会話するときは、もちろん譲ります。
とりとめなく書きましたが、以上5つの理由により中国人のコミュニケーションは
傍から見ていると怒っているように見えますが、実は普通の会話なのです。
まだ僕自身も慣れない時がありますが、臆せず話して問題ないのです。
というか、相手を制してこちらが話すくらいでなければなりません。