中国のインターネットに落ちていたデータや統計を参照しながら、中国における広告市場及びインターネット広告市場の概論について書きます。
中国市場監督管理局のデータをもとに、中国広告市場規模の推移を整理しました。比較しやすいように日本の広告市場も電通報から抜粋して記載しています。
年 | 中国広告市場 | 日本円換算* | 日本広告市場 |
2013 | 5,019億元 | 7.52兆円 | 5.97兆円 |
2014 | 5,605億元 | 8.40兆円 | 6.15兆円 |
2015 | 5,973億元 | 8.95兆円 | 6.17兆円 |
2016 | 6,489億元 | 9.73兆円 | 6.28兆円 |
2017 | 6,896億元 | 10.3兆円 | 6.39兆円 |
2018 | 7,991億元 | 11.9兆円 | 6.53兆円 |
*1CNY = 15JPYで換算
2013年にはすでに中国の広告市場は日本の広告市場を超えています。
2018年では約2倍の規模になっています。
では、インターネット広告だけで見たときはどうでしょうか?
2015年から2018年までですが、同じように整理します。
年 | 中国インターネット広告市場 | 日本円換算* | 日本インターネット広告市場 |
2015 | 2,184億元 | 3.27兆円 | 0.91兆円 |
2016 | 2,884億元 | 4.32兆円 | 1.31兆円 |
2017 | 3,750億元 | 5.62兆円 | 1.22兆円 |
2018 | 4,844億元 | 7.26兆円 | 1.44兆円 |
インターネット広告市場だけで比較すると、2018年では7倍の開きがあります。
次に広告市場全体におけるインターネット広告の占有率を比較してみます。
年 | 中国 | 日本 |
2015 | 43.48% | 15.24% |
2016 | 51.42% | 21.30% |
2017 | 54.56% | 19.09% |
2018 | 61.00% | 23.11% |
2018年には中国のインターネット広告が広告市場全体の61%を占めており、主戦場はすでにインターネット上、デジタルにあることが分かります。
一方、日本はまだ23%しか占めていません。マス媒体と呼ばれる、テレビ、新聞、雑誌、ラジオが約40%も占めている状況です。
次にインターネットメディアごとに、占有率を見てみます。
このデータは「前瞻」というリサーチ会社が整理したものなので正確か否かは分かりませんが、おおよその状況を把握できます。
まずトップが「電商」で32.87%。具体的には天猫(Tmall)や京東(JD.com)などのECプラットフォームです。
プラットフォームの広告媒体としての強さについて、過去にこんな記事を書いてました。
https://www.china-b-japan.org/entry/china_admarket_1027
次に「搜索」で20.98%。具体的には「百度」、「神馬」、「360」などのサーチエンジンです。
次に「视频」で10.39%。具体的には「爱奇艺」「腾讯视频」,「搜狐视频」などの動画サイトです。
次に「社交」で8.99%、具体的には「Wechat」、「Weibo」などのSNSです。
BATと呼ばれる百度、アリババ、テンセントがインターネット広告市場のうち72.46%を占有しているそうです。
このデータも上と同じく「前瞻」というリサーチ会社が整理したものなので正確性には疑問が残ります。またテンセントの中に出資している「京東」が入っているのか不明だったり、百度傘下の「爱奇艺」が別で換算されていたりと、若干の不明瞭さは残ります。
しかしながら感覚値としては、この3社が寡占していることは間違いないと思われます。
下記は「易观」というシンクタンクが整理した図です。
縦軸に運営能力、横軸にイノベーション力という軸で整理されています。
右上がマーケットのリーダー的存在であり、ここに「アリババ」、「百度」、「テンセント」が位置しています。
更に同じ右上の象限に「TikTok」の運営母体である「今日頭条」、中国のNetflixと呼ばれる「爱奇艺(百度傘下)」、創業からたった3年でNASDAQに上場したECプラットフォーム「拼多多」が入っています。