私は2010年8月から2017年4月まで、上海の日系企業で現地採用として働いていました。
海外で働いてみたい、成長著しい中国で就業してみたい、そんな人のために僕が中国の現地採用7年間で経験したことをまとめたいと思います。
まずさらっと現地採用と駐在員の違いについておさらいを。
名称 | 立場 | 待遇 |
現地採用 | 海外法人の現地の社員として雇用される。 | 悪め |
駐在員 | 日本法人の社員として雇用され、 会社から命令されて海外法人に駐在。 | 良し |
次に私の上海現地採用生活7年間の収入推移と、その生活水準について書きます。
わりと正確に且つ赤裸々に収入の推移と生活水準について時系列で書いています。
給与:7,500元/月(当時のレートが1元12.5円だったので約95,000円)
年齢:27歳
中国語レベル:皆無(ニーハオ、シェシェしか言えないレベル)
業務経験:同じ広告業界ではあったけれどデジタルしかなく営業経験もほぼ無し
役職:無し
上海へ渡る前、2008年から2010年の2年間、私は大阪で働いていました。
実家が大阪にあり実家から通っていたことで、当時手取りで23万円くらいの月収でしたが、毎月10万円を貯金し、1年間を使って120万円を貯金しました。
上海へ渡る数日前に50万円を下ろし、現金を握りしめて飛行機へ搭乗。
しばらくはこの、日本から持ってきた50万円を毎月切り崩して日々の生活をしていました。
27歳だったからいいけど30歳超えてやるのは厳しいなぁ、とそんな生活でした。
ちょうど2018年6月末に上海出張があり、時間が余ったので昔住んでいた家に行ってきました。
中山西路という道に入口が面している小区。
いつ拆迁(Chaiqianといって立ち退きです)があってもおかしくない小区です。
ここには2014年の途中まで住んでいました。
お風呂に閉じ込められたり、寒すぎて寝られない日があったり、ネズミが排気口から入ってくるから新聞紙詰めたり、なんてことがありました(笑)。
給与:9,500元/月(レートが上向き1元13円くらいで約123,500円)
年齢:28-29歳
中国語レベル:初級(まだまだ折衝や交渉はできない。雑談レベル)
業務経験:まだまだ自分で利益出してなかった
役職:主任(と言っても部下無し)
給与:12,000元/月(1元15円くらいで約180,000円)
年齢:30歳
中国語レベル:中級(やっとこさビジネス会話ができるくらい)
業務経験:経験を徐々に積んで、中国の事情も少しわかってきた
役職:経理(マネージャーと言っても部下らしい部下無し)
給与:15,000元(1元17円くらいで約255,000円)、2015年は19,000元(約323,000円)
中国語レベル:中級+α(提案資料も日本語と中国語両方作ってプレゼンしてた)
業務経験:社内の日本人の中では、中国事情に詳しい方だった
役職:経理(マネージャーと言っても部下らしい部下無し)
この時、北京ブランチで駐在員さんが急遽帰任。
しかし業務が立て込んでいたため、自分が少しの期間ヘルプに行くことになりました。
一人目の子どもが嫁のお腹にいたので、当時の上司に「行きたくない」とゴネると+6,000/月出すと!
更に駐在員さんが住んでいた高級マンションに住める、ということでGO!!
3ヶ月間だけ21,000元/月(約357,000円)に!
北京の朝陽公園の真向かいにある高級マンションで、住んでいる人は大使館の人とかで、上記のオンボロ屋敷からセレブ生活へ!
1階には広いプールとジムがあり、もちろんコンシェルジュ付き。
良い生活をさせてもらいました。
また、この時僕の8つ上、当時で38歳で現地採用として入社されてきた男性がいました。
広告の経験はあったようなのですが、中国語はもちろん話せずという状況でした。
僕より年上でしたが、中国語が話せなかったので給料は僕より低くかったです。
私が 19,000元(約323,000円) に対して、彼は10,000円(約170,000円)でした。
ご本人の資質もかなり関係しますが、結局鳴かず飛ばずで退職。
他の会社へ行かれたようなのですが、そこでも活躍できず日本へ帰国された、と風の噂で聞きました。今もどうされているか、分かりません。
給与:21,000元(1元19円くらいで約400,0000円)+ボーナス5万元くらい
中国語レベル:上級(何が来ても怖くない感じ)
業務経験:未経験の仕事が来てもこれまでの経験則からできるくらい
役職:高級経理(シニアマネージャーで部下5人くらい)
ここまできてやっと当時レートの円換算で年収560万円にのりました。
大阪で働いていたときが約320万円くらいでしたから、7年かかってやっと1.75倍です。
給与:23,000元(1元17円くらいで約400,0000円)+ボーナス3万元くらい
中国語レベル:上級(何が来ても怖くない感じ)
業務経験:未経験の仕事が来てもこれまでの経験則からできるくらい
役職:高級経理(シニアマネージャーで部下5人くらい)
もうこのときは、中国語や業務についてはほぼ怖いものはありませんでした。
もちろん、日本よりスピードが早く、不確定なことがたくさん起こるので大変だったのですが、なんとかなるっしょ、と余裕が出てきていました。
2010年から2017年の年収推移を表にするとこんな感じです。
日本円への換算レートは当時のものを用いています。
年数(年目) | 年収(元) | 年収(円) | 生活水準 |
2010(1) | 90,000 | 112万 | 最悪 |
2011(2) | 114,000 | 148万 | 最悪 |
2012(3) | 114,000 | 148万 | 悪 |
2013(4) | 144,000 | 216万 | 悪 |
2014(5) | 180,000 | 306万 | ちょい悪 |
2015(6) | 228,000 | 387万 | 普通 |
2016(7) | 30,2000 | 560万 | 良 |
2017(8) | 306,000 | 581万 | 良 |
2017年4月に退職して日本へ帰国しているので、実際はここまでの年収はありません。単純に最後に給料をもらった月額給料を12倍し、更に2017年の春節前にもらったボーナス3万元を足して計算しています。
グラフにするとこんな感じ、ブルーが実金額、オレンジが伸び率です。
経済的、つまり金(カネ)でドライブがかかり始めたのは2015年からでした。
要因は2つあり
・待遇が上がったこと
・住宅にかかる固定費がなくなったこと
です。
待遇が上がった理由は、良い上司に恵まれたから、の一言です。
良い上司=僕に甘いということではなく、むしろ厳しくお尻を叩かれました。
でも必死にそれをミートし続けていくことで、鍛えられました。
中国語も仕事で鍛えられ、何が来ても怖くないほどになれたことが大きいと思います。
待遇は給与もようやく19,000元、日本円で30万円台になり、
更に通勤にかかる交通費やその他経費も補助がもらえるようになりました。
更に住宅では嫁の買っていた家を内装し住むことで、毎月の家賃がなくなりました。
しかも夫婦の2馬力だったので、毎月約2万元(当時レートでだいたい30万円)を
貯金として積み上げ、5万元以上現金が貯まったら年利4~5%の理財商品へ回す、
というゴールデンサイクルをつくることができました。
ここまでのことだけを読むと、順風満帆のように見えますが、全くそんなことははありませんでした。
どんなことが不安で、どんなことが嫌だったか書きます。
今でもベッドから見上げた天井の様子を思い出すことができます。
上海の部屋のベッドで夜、将来が不安で不安で寝れなかったことが何度もありました。
前述しましたが27歳でやってきて、日本から持ってきた50万円を切り崩しながらの生活です。しかも仕事も全く新しいことだらけ。
ストレス耐性はある方だと思っていましたが、甘かったです。
中国へ行ったばかりの頃はそれこそ「ニーハオ」「シェシェ」しか話せませんでした。だから会社に電話がかかってきても、それを取ることすらできないのです。同僚ともコミュニケーションを取ることすら叶いません。
これは経験しないと分からないと想いますが、「俺はなんて出来ないヤツなんだ。」「俺なんてここにいてはだめなのではないか」という想いがふつふつと湧いてくるのです。
更に中国人同僚の中には日本語を話せる人がいました。僕とそう年齢も変わらないのに、年収は僕の方が高いのです。日本人で中国語が話せないのに、です。
当時、年齢が1つ上の男性が駐在員として赴任していました。
僕は当時27歳、彼は28歳です。
彼は駐在員として来ていますから、待遇面は圧倒的に彼が上でした。
住まいは会社近くの高級マンション、毎月2万元もする所です。
昼休みにランチを一緒に食べるのですが、彼について食べて行くと、
こっちの財布がもたないので、週に何度も理由を作って断っていました。
彼:「おーいランチ行こう」
僕:「すみません、この資料を1時間以内に送らないといけないので」
こうやって何度、彼のランチの誘いを断ったことか。
この屈辱感、劣等感は今も鮮明に思い出すことができます。
また、着ている服、靴、身に付ける物、食べる物、行く店、などなど、あらゆる所で差を見せつけられるので、劣等感を感じることがありました。
27歳未満なら今すぐGO!
28歳以上ならよく考えて。
が僕なりの結論です。
言語をなんとなく使えるようになるまでやはり3年くらいかかるし、
30歳なら「やっぱり日本に帰ろう」と思っても再起できるから、というのが理由です。
しばらくやってみて「これは、このままイケる!」っていう感触が持てたら、
現地採用は会社にもよりますが成果によっては給与は青天井なのでチャンス大です。
実際、僕より先にいた現地採用で働いていた女性は、年収で50万元(当時レートで600万円くらい、2020年レートなら850万円くらい)ももらっていました。
日本の会社は年功序列や職位バンドの制限が往々にしてあると思うのですが、
日本人でも現地採用ならそのレールから抜けているので成果と貢献度によっては、駐在員の収入を超えることでも夢ではありません。
(保険とか年金とか無いので単純換算はできませんし、かなり努力が必要です。)
僕自身は、「本当に中国に行っておいて良かった!」と思っています。
中国語を仕事の実地で鍛えたことで、中国語というめちゃくちゃ大きな資産を手に入れられました。
今の生活も、中国があるから、中国語ができるから、実現できています。
ということで、リスク取って中国の現地採用はアリの選択だと思います。
まず心構えから(笑)
熱い想い、を持って来られるのも良いのですが、それ以上に明確な目的、または目標を持って来られることをオススメします。
僕が上海に渡った目的・理由は、以下の2つ。
①彼女と結婚し、彼女と生きていくこと
②大学時代から成長著しい中国、とくに上海で働きたいと思っていたこと
でした。この2つのベクトルが交差したので中国へ行ったのです。
しかし、もし、①が無く②だけだったら、7年も続いてなかったかもしれません。
と言うのも、やはり現実はシビアで熱い想いだけでは、心が折れて日本へ帰国していた、と思うのです。
海外で働き、もっと新しいことにチャレンジ、もっと成長したい!
という熱い想いを持って、上海・海外で現地採用を狙うのも良いですが、
熱い想いより、もっと強い目的・目標を持つことをオススメします。
次に言葉です。
中国へ具体的に行くと決めたのは中国へ渡る約10ヶ月前でした。
10ヶ月あれば、まぁもう少し言葉を何とかできていたと思うのですが、これをサボってしまっていました。
結果、中国に渡っても前述の通り「ニーハオ」「シェシェ」のみ。。。。
これではいけません。
本当に「行く!」と決めたなら、少しずつでも良いので、中国語を勉強されるべきです。もし本気なら。
次に軍資金です。
上海の物価は、ある一面だけを切り取れば東京、大阪と変わりません。
現地採用になれば、確実に待遇は今(もしあなたが正社員なら)より下がります。
であれば、最低限、力を蓄える(中国語の向上、中国へ慣れること)までしのぐことができる軍資金を日本にいるときに用意すべきです。
中国は1回の渡航で5,000ドル相当しか持っていけないので、せめて最低50万円貯金した方が良い、と思います。
こんにちは。
上海での現地採用が決まりましたが、物件探しに色々と手こずっております。
日系エージェントを通す場合は駐在員をターゲットにしているせいか、価格帯が手が出せそうにありません。
現地の業者や、インターネットで4~5000元程度の家賃のところを探す良い方法がありましたらご教示ねがいます!
よろしくおねがいします~!
masさん
コメント、ありがとうございます。
そして現地採用での就職、おめでとうございます。
自分は中山公園駅から歩いたところにある不動産屋へ駆け込み、4つくらい内覧して決めました。
また下記のサイトで事前に見られるのでアテをつけておくと良いと思います。
注意点は嘘情報(写真が別のものなど)もあるそうなので、必ず内覧をするべきと考えます。
https://sh.zu.anjuke.com/
http://sh.58.com/zufang/
http://sh.centanet.com/zufang