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中国の金融改革開放に関する最新発表2019年

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2019年7月20日に中国人民銀行及び国務院が11項目の金融方面に関する改革開放政策について発表しました。

 

原文と翻訳()内

1、允许外资机构在华开展信用评级业务时,可以对银行间债券市场和交易所债券市场的所有种类债券评级。

(外資系企業が格付け業務を行う際、銀行債券市場と取引所債権市場の全ての債券を格付けしても良い)

 

2、鼓励境外金融机构参与设立、投资入股商业银行理财子公司。

(海外の金融機関が法人を設立し、商業銀行理財子会社へ投資、資本参加することを奨励する)

 

3、允许境外资产管理机构与中资银行或保险公司的子公司合资设立由外方控股的理财公司。

(海外企業が国内の銀行または保険会社と合弁会社を設立する際、外資企業が支配権をもっても良い)

 

4、允许境外金融机构投资设立、参股养老金管理公司。

(海外金融機関が国内に法人を設立し、年金管理会社への出資を認める)

 

5、支持外资全资设立或参股货币经纪公司。

(外資100%企業によるカレンシーブローカー会社の設立または資本参加を支持する)

 

6、人身险外资股比限制从51%提高至100%的过渡期,由原定2021年提前到2020年。

(傷害保険への外資による出資比率を51%から100%へと拡大する期限を2021年から2020年と1年前倒しする)

 

7、取消境内保险公司合计持有保险资产管理公司的股份不得低于75%的规定,允许境外投资者持有股份超过25%。

(国内の保険会社が保有する保険資産管理会社の株式は75%を下回ってはいけないという規定を撤廃し、国外投資家が25%以上の株式を持っても良いこととする。)

 

8、放宽外资保险公司准入条件,取消30年经营年限要求。

(外資系保険会社の会社設立条件を緩和し、30年間の営業許可期限を撤廃する。)

 

9、将原定于2021年取消证券公司、基金管理公司和期货公司外资股比限制的时点提前到2020年。

(2021年に緩和するとしていた証券会社、ファンド会社、先物会社への外資による出資比率制限を2020年に緩和を前倒しする。)

 

10、允许外资机构获得银行间债券市场A类主承销牌照。

(外資系金融機関によるインターバンク債券市場A類の免許発行を認める。)

 

11、进一步便利境外机构投资者投资银行间债券市场。

(外資系金融機関がインターバンク債券市場により便利に参加できるようにする。)

 

めちゃくちゃおおざっぱに言えば

  • 外資系金融機関が
  • 中国国内で保険、証券、ファンド、格付け業務を円滑にできるように、
  • 既存国内金融機関への出資比率制限を緩和したり、
  • 100%出資でしてもOK

という感じです。

 

しかし依然として、為替施策については制限がかかったままです。

国際金融のトリレンマという言葉をご存知でしょうか。

 

僕もこの本を読んで初めて知った言葉です。

中国の金融システム―貨幣政策、資本市場、金融セクター

 

国際金融政策において、3つの政策を同時に実現することができないということを意味する言葉で、おそらくトライアングルとジレンマをかけてつくったものだと思われます。

 

3つとは何かと言いますと

  1. 自由な資本移動
  2. 為替相場の安定
  3. 独立した金融政策

です。

 

この3つを同時に並行して実現はできず、必ず2つしか選べないというものです。

 

例えば、日本は

「自由な資本移動」と「独立した金融政策」を選択し、「為替相場の安定」を放棄しています。

例えば日本人は自由に、ほぼ制限なく日本円をドルやユーロへ変換できますし、日本銀行は比較的自由に金融政策を決定することができます。代わりに為替相場は安定させることができず、1日で例えば1ドル当たり1円や5円の円高円安といった大きなボラティリティに晒される可能性があります。

 

一方、中国は「為替相場の安定」と「独立した金融政策」を選択し、「自由な資本移動」を放棄しています。

管理フロート制と呼ばれる制度を敷いており、人民元は短期間の間に1円や5円と為替相場が大きく変動することはありませんし、中国人民銀行は自身の思惑で以て金融政策を自由に決定しています。代わりに中国人は自由に人民元を外貨へ換金し、国外へ持っていくことができません。個人であれば年間5万ドル相当までしか外貨へ換金ができません。また国外株式への投資も間接的にドルなどの外貨換金になるので、中国国内の証券会社からは購入することができません。

 

私個人としては、中国が早く他の先進国と同様にトリレンマのうち、日本のような「自由な資本移動」及び「独立した金融政策」を選択することを希望します。

そうすれば面倒な手続きを経ること無く中国にある人民元を日本へ移動させられるからです。

 

いずれにしても、中国での金融政策動向にこれからも注視したいと思います。

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