10年8月~17年4月、中国上海で広告の仕事。17年5月に日本へ帰国、中国×金融×マーケティング

蘇寧電器が万達百貨全店舗を買収、蘇寧電器はスマートリテールを本気で構築している

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中国の家電量販店(というよりも今はネットが主流)大手の蘇寧電器が、

万達集団傘下の万達百貨店37店舗を全て買収すると発表しました。

 

 

蘇寧電器とは

1990年に南京で創業されました。

創業当時はエアコンだけを販売する小さな店舗です。

1999年には南京一番の繁華街、新街口に総合家電販売店舗、蘇寧電器をオープンさせます。

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新街口の蘇寧電器

2004年には深セン証券取引所に上場。

店舗は2018年のIRによる5,000を超えます。

 

2012年にO2O(Onlien to Offline)の概念をぶち上げ、ネットとリアルの融合を目指します。

社名も蘇寧電器から蘇寧雲商と名前を買えています。

自社で運営していた蘇寧電器のECサイトも蘇寧易購という名前に変更し、

このECサイトはBtoCサイトでは第三位までになっています。

更に2018年、蘇寧雲商から蘇寧易購へと社名をまた変更しています。

2017年の売上は1,879億元、利益は42億元です。

 

日本で上場するLAOX(ラオックス)の親会社でもあります。

 

万達集団の万達百貨とは

万達集団と言えば王建林です。

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王建林氏

万達集団のCEOで、中国一番の資産家です。

 

万達集団は、不動産業(マンションやSCなど)、ホテル業、映画制作及び映画館運営、

そして万達百貨店という百貨店業を営むグループです。

 

2014年に万達は中国IT企業の百度(Baidu)とテンセント(Tencent)の3社で

共同出資して新会社を設立しています。

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これも自社が持つホテル、映画館、百貨店などのリアル店舗とオンラインを

つなぎ合わせるO2Oという考え方の実現に向けた取組でした。

 

更に2015年、上で紹介した蘇寧とも戦略パートナーとして提携。

ある意味、百度やテンセントと共同出資した会社と自ら競合する形でビジネスを進めます。

 

蘇寧が万達百貨店を買収

そんな状況下において、2019年2月12日、蘇寧が万達集団傘下の百貨店37店舗全部を

いっきに買収するという発表がされました。

 

万達百貨店は2014年のピーク時は全国に110店舗を持っていましたが、

消費者がEC、つまりネットで購入する習慣へと変わり始め、百貨店の店舗数は徐々に縮小。

2015年には56店舗を閉鎖するなど大きな改革をしていました。

 

噂では2018年にも競合である銀泰商業が買収か、と思われていましたが、

このタイミングで蘇寧が買収する運びとなりました。

 

今回の買収について担当役員である龚震宇氏はこう語ります。

スマートリテールを全方位で構築するには、オンラインからオフライン、都市部から田舎をカバーし、いつでも見られて、いつでも触れられる状況を作らなければなりません。

この百貨店というパズルのピース を手にいれたことで、また一つ完全なるスマートリテールにつながるのです。

今回の買収以前にも、蘇寧は新たな業態との融合を模索して色々な企業を取り入れてきました。

百貨店業を我々の生態系の中に組み込み、他の業態で培った成功パターンを模し、他業態とシームレスにつなぎ合わせて更に顧客の価値創造を目指します。

 

蘇寧は言葉ではなく、本気でスマートリテールという概念を実現させようとしている。

 

自分の経験から

僕は総合広告代理店で2010年から上海で勤務していました。

担当していたお客さんはまさに家電業界だったのですが、

2010年、11年、12年くらいまでは主戦場が店舗、オフラインにありました。

 

お客さんからの依頼も、店頭POPを作りたい、チラシをデザインしたい、店舗の改装をしたい、など広告会社としての売上はオフライン関係で発生していました。

 

しかし2013年くらいから、いっきにこの流れが変わります。

O2Oという言葉がお客さんの担当者から出てきたのも、この頃だったような気がします。

店舗やオフラインでの消費者とのタッチポイントよりも、オンラインやデジタル上で

いかに消費者とタッチポイントを持つかに、いっきにシフトしました。

広告会社としては、これまでオンラインでのノウハウが溜まっていなかったので、

2年くらいはかなりキツイ期間がつづきましたが、それ以降は広告会社としての

売上の8割くらいがオンライン関係からになりました。

中国の流れの変わり方、なんというか盤面の変わり方はものすごく早く、

ある方向へいっきに動くので、その対応に追われた記憶があります。

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