10年8月~17年4月、中国上海で広告の仕事。17年5月に日本へ帰国、中国×金融×マーケティング

中国金融の教科書:中国におけるゴールド(Gold、金、XAU/USD)の投資商品について

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2019年1月29日の金(XAU/USD)相場

 

私は金融関係の会社で、中国のリテールクライアント向けにプロモーションし、

自社に口座を開設してもらう、という仕事をしています。

 

今はゴールド、つまり金、XAUに注目をしていて、ゴールドそのもの、

そして中国におけるゴールドについて語れるように勉強をしていました。

 

アウトプットを前提としたインプットが良質なインプットにつながる、

と思っているので、ここで得た知識を整理します。

 

 

内盘(Nei Pan)と外盘(Wai Pan)

中国にいる金融関係者と会話をしているとよく聞くのが

内盘(Nei Pan)

外盘(Wai Pan)

という言葉です。

この内、外という概念で、まず中国におけるゴールドのマーケットを大別することができます。

 

共通する盘(Pan)という言葉ですが、これは「皿」という意味で、

意訳すればマーケット自身を指しています。

 

チャートを見ながらトレードすることを中国語で「操盘(Cao Pan)」というのですが、

自分自身の資金を操(Cao)縦してマーケット(Pan)で泳ぐのをイメージしているのでは、

と勝手に想像しています。

 

さて、内盘は漢字から連想できる通り中国国内のマーケットを指しており、

外盘は海外のマーケットを指しています。

 

内盘(Nei Pan)で記載されるゴールドの価格単位は人民元、重量はグラム表記です。

外盘(Wai Pan)で記載されるゴールドの価格単位はUSドル、重量はオンス表記です。

 

また内盘(Nei Pan)は中国政府の公認を受けており、証拠金を預けるタイプであれば、

証拠金は国内銀行によって信託されています。

 

外盘(Wai Pan)は海外マーケットなので中国政府が影響できず、更に証拠金も信託されているのかいないのか、中国人には実際のところはわかりません。

 

内盘(Nei Pan)の具体的なマーケット

貴金属が取引できるマーケットで、中国で政府公認の取引所は3つしかありません。

ただし、天津ではプラチナしかトレードできません。

更にちょっと原因はわかりませんが、現在取引所自体が2018年8月から停止されています。

したがって現在、貴金属の取引において内盘という言葉が意味するのは、

上海黄金交易所及び上海期貨交易所の2つを指す、ということになります。

 

内盘(Nei Pan)の歴史

今は正規の交易所は2つしかありませんが、2017年1月以前は全国に数百を超える

貴金属の取引所がありました。

これらの交易所は地方政府から免許が交付され、正規の取引所として運営していたものの、正しく運営がされていなかったようです。

そのため、2017年6月以降、これら数百を超える取引所は北京が主導して整理、閉鎖をしたのです。

交易场所清理整顿黑白名单汇总

この結果、上記であげた2つの交易所が正規の交易所として残ったのです。

 

内盘(Nei Pan)で投資できるゴールド

更に内盘で投資できるゴールドの金融商品は5つに大別できます。

  1. 実物黄金
  2. 紙黄金
  3. 黄金期貨
  4. 黄金T+D
  5. 黄金ETF

です。

1.実物黄金

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周大福

いわゆる金現物で、金を買い、金の値上がりを狙う金投資です。

投資家は金価格の上昇で以てのみ利益を上げられます。 

 

現物なので金地金や純金記念貨幣、ネックレスなども含まれます。

中国に店舗を多く持つ周大福で売られている金もこの中に入ります。

2019年1月31日の価格を見ると330元/1gです。

単位はグラムであることに注意が必要です。

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周大福の投資性金価格

 

2.紙黄金

カテゴリ的には実物黄金に含まれるのですが、あくまで帳簿上でゴールドを購入するので分けて記載しています。

金融機関が顧客から資金を預かり、帳簿上でのみ金を買う投資商品です。

投資家は金価格の上昇で以てのみ利益を上げられます。

2019年1月31日の工商銀行が出している価格を見ると283元/1gです。

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紙黄金の価格推移

実物黄金と同じカテゴリなのに、安く買えてしまいますね。

これはなぜかというと、実物黄金は実際に金を受け渡し(中国語で交割,JiaoGeと言う)を行います。

金は採掘してから、顧客の手に渡るまで、加工し輸送される必要があるので、

その分コストがかかってしまいます。

 

一方、紙黄金はあくまで帳簿上でのやり取りで、実物が動くことはありません。

したがって途中のコストがかからないので、実物黄金より価格が低いのです。

3.黄金期貨

期貨とは「先物」という意味です。

つまり金先物取引です。

先物取引なので買いだけではなく、売りも仕掛けられます。

また保有できる期間が決まっており、期限が来たら含み損益の如何に関わらず取引を仕舞わないといけません。

 

また取引時間は5営業日×5時間です。

午前が9時~11時30分、午後が13時30分~15時です。

 

上海期貨交易所の会員企業に口座を開設し、証拠金(中国語では保証金)を預け

トレードをすることができます。

またレバレッジは10倍~14倍で、会員企業によってまちまちです。

 

上海期貨交易所の会員企業一覧

http://www.shfe.com.cn/about/member/memberslist/

4.黄金T+D

先物取引のカテゴリに分類されるのですが、いくつか違う点があります。

先物と同じ仕組みなので、売り買い両方からポジションを持てます。

保有する期間は費用がかかりますが、延期をさせることができます。

ちなみにTはTrade、DはDelayなのですが、この延期できるのをDと表記しています。

 

また取引時間は午前が9時~11時30分、午後が13時30分~15時、夜が21時~2時30分、

と長いのが特徴です。

 

上海黄金交易所の会員企業に口座を開き、証拠金(中国語では保証金)を預け

トレードをすることができます。

またレバレッジは15倍です。

 

上海黄金交易所の会員企業一覧

https://www.sge.com.cn/hyzq/mlycx

 

5.黄金ETF

ETFという名前から分かる通り投資信託です。

お金を証券会社を預けプロのトレーダーが顧客のお金を運用する商品です。

 

外盘(Wai pan)について

外盘(Wai Pan)には色々種類が有りすぎて分類ができません。

香港にある装飾品店で販売されているゴールドも外盘(Wai Pan)の中に入りますし、

日本の商品先物を取り扱う会社のゴールドも外盘(Wai Pan)に入ります。

 

この記事では、外盘(Wai Pan)の中のCFDについて触れます。

 

現貨黄金

中国語で表記される現貨黄金とは、漢字から読むと現物のように見えますが、

CFDのことを指します。

CFDは中国国内、つまり内盘(Nei Pan)では取扱がありません。

そのため、もし中国人が現貨黄金に投資したいと思ったら、海外ブローカーに

口座を開設し、証拠金を海外へ送金、トレードすることになります。

 

CFDですから当然、売りからも買いからもポジションを持てます。

時間も5営業日 × 24時間可能です。

レバレッジは選ぶブローカーによって変わります。

それこそ100倍、400倍、1,000倍といったものもあります。

 

整理

これまでの内容を整理します。

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中国金融の許可書:中国のける黄金の投資商品まとめ
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